ANAのSFC改悪は、思ったほど改悪じゃない
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ANAのSFC改悪は、思ったほど改悪じゃない

2026年4月23日にANAが発表したSFCの制度変更について、ヘビーユーザーの視点から冷静に整理してみた。結論から言えば、SNSが騒ぐほどの改悪ではない。SFCの本当の価値はラウンジではなく、優先搭乗とマイル積算ボーナスにあるからだ。

イクバル・アバドゥラ 著者 イクバル・アバドゥラ

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UPDATE: 2026年9月にANAが、SFCの制度を見直したことで、最新の情報をこちらのアップデート記事に

最初に立場を明かしておく。私はANAのSFC(スーパーフライヤーズカード)会員で、年に何往復もしている、いわゆるヘビーユーザーだ。だから2026年4月23日にANAから届いた制度変更のお知らせを開いた瞬間、最初に出た言葉は「またか」だった。SNSのタイムラインも案の定、同じ温度だった。「改悪」「裏切り」「もう辞める」。

落ち着いて中身を読み、自分の利用実態と照らし合わせて計算してみると、印象がだいぶ変わった。結論から言えば、これは多くの人が騒いでいるほどの改悪ではない。SFCの本当の価値はラウンジではなかった、というのがその理由だ。

ANA Airplane Wing Above Clouds - Travel Scenes

何が変わったのか

ANAの公式発表を要約するとこうなる。2028年度から、SFC会員は年間決済額300万円以上で「SFC PLUS」、それ未満で「SFC LITE」の2区分に分かれる。判定期間は2026年12月16日から2027年12月15日。家族会員の決済も合算できるが、ANA Payへのチャージは対象外だ。100万ライフタイムマイル達成者は決済額に関係なくPLUS確定。既存会員も新規会員も等しく対象になる、いわゆる「一斉足切り」である。

一つ補足しておきたい。300万円を月割りすれば25万円。家賃や光熱費、保険、食費、出張費まで含めて家計のメイン決済をANAカードに寄せれば、ふつうに到達する金額だ。「桁違いに高いハードル」というほどのものではない。

SFC PLUSとSFC LITEの違い

PLUSはこれまでとほぼ同じだ。スターアライアンス・ゴールド維持、ANAラウンジ利用可、5,000マイルのボーナス付き。LITEになるとスターアライアンス・シルバーに降格し、ラウンジは使えなくなる。

ただし、LITEになっても優先搭乗、優先手荷物、優先保安検査、専用カウンター、国内線先行予約はそのまま残る。失うのは実質的にラウンジだけだ。ここを正確に押さえないまま「全部終わった」と言っているツイートが多すぎる。

SFCとは何だったのか、JALはどうしたか

そもそもSFCは、年会費を払い続ければ半永久的に上級会員ステータスを維持できる、日本独自のガラパゴス制度だ。世界の航空会社は通常、毎年フライト実績で上級会員を判定し直す。20年以上にわたって使い続けられたSFCは、かなり特殊な存在である。

JALも同じ仕組み(JGC、現Life Status Program)を持っていて、2024年1月に新規参入のハードルを上げた。ただしJALは既存会員を据え置きにし、新規参入者だけ厳しくした。ANAの一斉足切り方式とは対照的だ。世代間の公平性という観点ではANAの方が筋が通っているが、既存会員の反発が大きいのも当然である。

東洋経済オンラインの解説によれば、JALはLSPですでに航空券以外の収益が4割を占めるようになっている。ANAも同じ方向に動いている。要するに、ラウンジは固定費の塊で、ヘビーユーザーが増えすぎた、という単純な話だ。

ラウンジの現実

ANAは「混雑緩和」を理由に挙げているが、コロナ後にラウンジを使った人なら誰でも知っている通り、混雑だけが問題ではない。国際線でも軽食は明らかに減った。国内線に至っては飲み物だけ。ピーク時には席を確保することすら難しい。

「ラウンジに価値があるから守る」という前提自体が、すでにかなり揺らいでいる。空港のカフェで仕事していた方が快適、という日が私自身、増えてきている。

SFCの本当の価値

ここがこの記事で一番伝えたいところだ。SFCの価値はラウンジではない。私の使い方で言えば、価値の7割は「優先搭乗」と「マイル積算ボーナス」にある。

  1. 優先搭乗(グループ2):機内収納が確保できる。地味だが国内線の混雑時には決定的な差になる。最後に乗ると荷物の置き場がなく、降機時に余計な時間を取られる、あの体験を回避できる。
  2. マイル積算ボーナス:これが一番見落とされている。SFC会員は同じ路線・同じ運賃でも、一般会員よりはるかに多くマイルが貯まる。長く乗るほどこの差は複利で効いてくる。

両方ともLITEで残る。ラウンジが消えても、私の利用実態の本質はほぼ無傷だ。

マイル積算の具体例

ANA公式の積算条件を踏まえて、羽田→那覇片道(区間基本984マイル)を比較してみる。(著者で軽く調べてみたのだが、間違ってるかもしれない)

区分 獲得マイル
カード無し一般会員 984
ANA一般カード 約1,082
ANAゴールド(修行中) 約1,230
SFCゴールド 約1,378

SFCゴールドはカード無し会員の約1.4倍。これが国際線になると、長距離路線一往復で数千マイル単位の差がつく。年に何往復もする人にとって、この差はビジネスやファーストの特典航空券に到達する速度の差として返ってくる。

では、どう動くべきか

今回の発表に対して合理的な選択肢は二つある。

  1. PLUSを維持する:家計の決済をANAカードに寄せて月25万円のハードルをクリアする。生活スタイルを大きく変えずに済む人なら、これは現実的な路線だ。
  2. LITEを受け入れる:ラウンジは諦め、本質的な価値(優先搭乗とマイル積算)を享受する。ラウンジが本当に必要なときだけ、プライオリティパス付帯のカード(例:三菱UFJプラチナ・アメックス、年22,000円)で個別対応する。ANAラウンジ目当てならANA JCBカードプレミアム(年77,000円)やANA VISAプラチナ プレミアム(年96,800円)という選択肢もある。(この最後のリンクが、ラウンジ利用可能なカードの一覧になるので、便利かもしれない)

明確にやってはいけないのは、SNSの空気に押されて感情でSFCを解約することだ。本来の価値(優先搭乗とマイル)まで一緒に手放すことになる。

マイレージ界の掟

最後に、根本的な話を一つ。マイレージプログラムの生殺与奪は航空会社が握っている。私たちユーザーにできるのは、その時々のルールの中で最善手を選ぶことだけだ。改悪に怒っても、ルールは変わらない。

冷静に自分の利用実態と照らし合わせれば、今回のSFC改定は世間が言うほどの「終わり」ではない。むしろ、自分にとってのSFCの価値を整理し直すいい機会である。それだけの話だと思っている。

最終更新日: 2026年10月1日

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