フィリピンからアメリカの企業へ、IDD料金を払わずに電話をかける方法
フィリピンからアメリカの企業へ携帯のIDDプランで電話をかけると、保留時間の分まで料金がかさむ。この記事では、よく使われるかけ方を比べ、1-800番号が海外からつながらない理由を説明する。そのうえで、ブラウザから1分0.02ユーロでかける方法を紹介する。
私は20年近く、国際電話の通信事業者へ請求書を支払ってきた。最初はXoxzo、いまはPuchiDenだ。早い段階で分かったことがある。電話の値段は、その電話を運ぶ費用とはほとんど関係がない。値段を決めているのは、主に誰がどう売っているかだ。
フィリピンからアメリカへの電話は、その分かりやすい例だ。この電話を毎営業日かける人は多い。その多くは、アメリカのクライアントを持つバーチャルアシスタントだ。クリニックや保険会社、大家、取引先へ、クライアントの代わりに電話をかけている(バーチャルアシスタントがクライアントの代わりに電話をかける方法は別の記事に書いた)。ほとんどの人が、必要以上に払っている。そもそもこの用途を想定していない携帯プランを通してかけているからだ。
いま、この電話にかかる料金
フィリピンからアメリカの番号に電話をかける方法は、よく使われるものが3つある。
- 携帯プランのIDD料金。 IDDとはInternational Direct Dialling(国際直接ダイヤル)だ。SIMからかけるふつうの国際電話だ。GlobeのGOCALLIDDプロモでは、北米(アメリカ本土・グアム・カナダ)への通話が1分あたり2.50ペソとされている。ただし、プロモのクレジットが残っている間だけだ。使い切ると、それより高い通常のIDD料金に戻る。
- アプリ同士の通話。 WhatsAppやViber、Messengerは無料だが、同じアプリの利用者にしかかけられない。テキサスの歯医者の受付や、保険会社の請求窓口は、ふつうの電話番号だ。アプリのアカウントがないので、その電話を受けることはできない。
- インターネット経由で本物の電話番号にかける。 これがいちばん安い方法で、PuchiDenがやっていることだ。執筆時点で、アメリカへの通話は固定電話・携帯電話とも1分あたり0.02ユーロだ。1分あたり1ペソを少し超える程度で、登録が必要なプロモも、月末に失効するクレジットもない。
アメリカは世界でも安くかけられる国だ。だから、これらの値段の差は電話網のせいではない。電話の周りにあるプランのせいだ。この点はパソコンから国際電話をいちばん安くかける方法にも詳しく書いた。
本当の費用は保留時間だ
1分あたりの料金は、実際にアメリカのカスタマーサービスに電話するまでは小さく見える。簡単な質問でも、保留で20分や30分待つことがある。保留音も会話と同じように課金される。電話システムが応答した瞬間に、回線はつながっているからだ。
1分0.02ユーロなら、30分の電話は0.60ユーロだ。GOCALLIDDのプロモ料金でも、同じ30分は75ペソで、およそ2倍になる。通常のIDD料金なら、さらに高い。プロモのクレジットには、もう1つリスクがある。GlobeのFAQによると、通話の途中でクレジットを使い切った場合、プリペイドの通話はその場で切れる。ポストペイドの通話は切れずに、通常料金で続く。保留中なら、どちらも困る。順番待ちの列から外されるか、保留音を聞くために通常料金を払うかのどちらかだ。
ここで役に立つ習慣が2つある。
- ダイヤルする前にアメリカの時刻を確かめる。 マニラの午後は、アメリカ東海岸では真夜中だ。その会社の現地時間で営業時間を調べておけば、閉まっているオフィスの保留音を聞き続けずに済む。
- 折り返しのオプションがあれば使う。 保留で待たせる代わりに、折り返し電話をしてくれる電話システムもある。アメリカのバーチャル番号(後述)を持っていれば、保留時間をまるごと省けることもある。
相手が出なかった通話は無料なので、呼び出し音が鳴り続けただけの番号には費用がかからない。
アメリカの番号のダイヤルの仕方
フィリピンの携帯からかけるなら、国際電話の識別番号、1、そして10桁のアメリカの番号の順にダイヤルする。ブラウザならもっと簡単だ。+1のあとに10桁を打てばいい。たとえば +1 212 555 0123 だ。
10桁は、3桁の市外局番と7桁の番号でできている。アメリカでは携帯電話の番号と固定電話の番号の見た目が同じなので、番号だけではどちらにかけているのか分からない。PuchiDenではどちらも同じ料金なので、気にする必要はない。
番号がどの国のものか分からないときのために、知らない国番号を調べてブラウザからかける方法という短いガイドも書いた。
1-800番号がつながらない理由
いちばん多くの人がつまずくのは、ここだ。アメリカのフリーダイヤル(800、888、877、866など)は、会社が通話料を払うので、かける側は無料になる。多くの会社はアメリカ国内からの通話料しか払っていないので、海外からの電話はブロックされる。Wikipediaの北米フリーダイヤルに関する記事では、フリーダイヤル番号は北米番号計画(NANP)内のどの電話からでもかけられる。しかし、番号の持ち主が利用制限を設けることができ、NANPの外からはつながらないものもあると説明されている。
これは番号の持ち主が決めたことで、どの通話サービスにも回避できない。できることは次の3つだ。
- ふつうの番号を探す。 多くの会社は、問い合わせページに「海外からのお電話」「アメリカ国外から」用の別の番号を載せている。800ではなく、ふつうの市外局番で始まる番号だ。
- Webサイトの下部やカードの裏面を見る。 銀行や保険会社は、フリーダイヤルの隣にコレクトコール用や海外用の番号を書いていることが多い。
- 何度もかけ直さない。 フリーダイヤルがつながらなければ、5回目でもつながらない。PuchiDenでは、つながらなかった電話は課金されない。詳しくは海外からフリーダイヤルにかけられるかのFAQにある。
相手は電話に出てくれるか
アメリカ人は大量の迷惑電話を受けている。2023年、FCC(米連邦通信委員会)は、すべての音声サービス事業者に対し、STIR/SHAKENという発信者番号認証フレームワークをIP音声網に導入することを義務付けた。これにより、加入者は受け取る発信者番号情報が正確であることに確信を持てる。また、事業者が不審な電話をブロックしたりラベル付けしたりする判断を支援する。知らない番号からの電話は、「Spam Likely(迷惑電話の可能性)」と表示されたり、番号が出なかったりする。アメリカ国外から届く電話は、特にそうなりやすい。そういう電話には出ない人が多い。
役に立つ方法が2つある。
- 相手が知っている番号を表示する。 クライアントが同意すれば、クライアント自身の事業用の番号をPuchiDenで認証して、発信者番号として使える。ただし、番号の持ち主の明確な許可が必要だ。
- アメリカの番号を表示する。 PuchiDenはアメリカのバーチャル番号を貸し出している。発信するときの発信者番号として使えて、その番号への折り返しは指定した電話に転送される。1つのアカウントで複数の番号を持てるので、VAならクライアントごとに1つずつ持つこともできる。
どちらも確実ではないことを、正直に書いておく。国際電話では、相手側の通信事業者が、電話機に届く前に発信者番号を書き換えたり消したりすることがある。その理由は国際電話で自分の番号が表示されないことがある理由に書いた。だから相手が出たら、最初の一言で自分が誰で、誰の代わりに電話しているのかを伝えよう。
電話機より回線のほうが大事だ
ブラウザ通話はインターネット回線を通るので、通話の品質はその回線で決まる。大きな違いを生むことがいくつかある。
- 長い電話は有線接続にするか、ルーターの近くに座る。 壁を2枚隔てたWi-Fiは、ひどい通話の始まりになりやすい。
- ヘッドセットを使う。 ノートPCのマイクは、扇風機の音も、隣の部屋のテレビも、外の車の音も拾う。安い有線のヘッドセットで、そのほとんどが解決する。
- 予備としてモバイルデータを用意しておく。 通話中に停電したり光回線が切れたりしたら、スマホのテザリングに切り替えてかけ直せばいい。
通話中は、ダイヤラーに通話品質インジケーターが表示される。問題が自分の回線にあるときは、それで分かる。
後で驚かないよう、もう1つの制限も書いておく。PuchiDenは、アメリカでも他の国でも、緊急番号にはつながらない。緊急時のために携帯電話を手元に置いておくこと。
次に何をするか
リストにある次のアメリカの番号を探してほしい。それが1-800番号でないかを確かめ、もしそうなら、ふつうの番号を探す。ダイヤラーを開き、+1と10桁を打ち、発信ボタンを押す前に料金を確かめる。登録に必要なのはメールアドレスだけで、最低チャージ額は5ユーロだ。1分0.02ユーロなら、アメリカへ4時間以上かけられる。